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  • 執筆者の写真シュリンプ

落札額第2位の記録も納得!デイヴィッド・ホックニーの作品群がすごい


こんにちは。エディトリアルデザイナーのシュリンプです。


東京都現代美術館で「デイヴィッド・ホックニー展」が開幕したので、さっそく行ってきました!


デイヴィッド・ホックニーは、存命画家のうち、オークション落札額で第2位の記録を持つ現代美術のアーティスト。


2018年11月にニューヨークで開催されたオークションで「Portrait of an Artist 〈Pool with Two Figures〉」という作品が、当時の最高額9031万2500ドル(約126億)で落札されるなど、現代を代表する最も多才なアーティストのひとりです。


東京都現代美術館
5700点もの作品を収蔵する東京都現代美術館

私がホックニーを知ったのは学生時代。

大学のゼミの教授がホックニーに魅せられていて、その影響で興味を持ったのです。



ホックニーのすごいところ

◆絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術といった分野で多彩な作品を発表している

◆2012年ロイヤル・アカデミー(ロンドン)の個展で60万人以上の来場者数を記録

◆2017年ポンピドゥー・センター(パリ)の個展でも60万人以上の来場者数を記録

◆2023年に86歳を迎えてなお第一線で革新的な作品を発表し続けている



他にもいろいろとすごいのですが、長くなるのでほどほどにします。




では、さっそく展示されていた作品をいくつか紹介していきます。

こちらはipadのドローイングを使って描かれた作品。

ipadでここまで表現できるとは驚きです。作品の制作過程も実際に映像で見ることができ、

「筆」のかすれやぼかしなどを巧みに使用していることが分かります。

デイヴィッド・ホックニーの絵画
〈春の到来 イースト・ヨークシャー〉より 「6月2日」

〈春の到来 イースト・ヨークシャー〉より 「5月4日」

ホックニーは、「絵画は絵の具と筆で描くもの」という固定観念にとらわれず、さまざまな技法で絵を表現してきた画家です。


何枚ものキャンバスに描いた絵を組み合わせて一枚の大きな作品にしたり、リトグラフの技法を応用して複製のできない一点物の版画を制作したり。


近年では、新しいテクノロジーを用いた表現技法を開花させ、あくなき探求心をのぞかせています。


上の2点は、ドローイングの素朴な表現と、クロード・モネら印象派の影響を感じさせるタッチに豊かな色彩が魅力の作品。その発想と表現力に心が躍りました。





モネといえば、ホックニーは、モネが「積み藁」で描こうとした光の移ろいに共感を覚えていたそうです。


さんぽ中に積み藁に関心を持ったモネは、一緒にいた義理の娘に「キャンバスを2枚持ってきてくれ」と頼みます。晴れと曇りの情景をそれぞれ描こうとしたのです。


ところが、いざ積み藁と向き合ってみると「積み藁に当たる光の印影は、一日の中でも刻々と変化する。季節が変わればもっと変わる」ということに気が付いたといいます。


そこで手押し車に詰めるだけのキャンバスを積んできて、何枚も何枚も、光の移ろいを描き続けたのだそうです。





同じような体験が、ホックニーにもありました。1964年にロサンゼルスに移住したホックニーは、南カリフォルニアの明るい陽光が降り注ぐプールに興味を持ちます。


水面を見ても、水底を見ても、水中を持ても、毎日違って見える――。


そこから生まれたのが、ホックニーの最高傑作のひとつに数えられる29点の「Paper Pools」や、スプリンクラーの水しぶきを描いた「sprinkler」でした。


さまざまに変化する光の反射や水の動きをキャンバスに落とし込むという試みは、ホックニーの創作意欲を掻き立て、新たな画材や描写を追い求めるという「美の探求」に繋がっていったのです。



デイヴィッド・ホックニー
春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年

こちらはヨークシャーの春を描いた大型の油彩画。この油彩画と、上掲2点の作品を含むipad作品群で、色彩に満ちたエネルギッシュな「春の到来」が表現されていました。


デイヴィッド・ホックニー
水たまりや池などの水面の表現が絶妙で、木々や草花が映り込んでいる様が巧みに表現されています。

ほかにも、さまざまな見どころがありました。


ひとつのモチーフをさまざまな角度から撮影した写真で仕上げた、ピカソらキュビズムの影響を感じさせるフォトコラージュ作品。


キャンバス50枚を組み合わせて描いた幅12mもの油彩画。


220点のipad作品を再構築した全長90mにおよぶ絵巻物状の大作「ノルマンディーの12カ月」


こうした革新的な作品群に圧倒されつつ、これを(失礼ながら!)86歳のおじいちゃんがやっているのかと、驚かずにはいられませんでした。





それから、興味深かったのはipadのドローイング制作過程の映像展示。ひとつの作品が作り上げられていく様子がとてもよく分かりました。


ホックニーに興味を持った方はぜひ会場へ!


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