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  • 執筆者の写真ウォーター

屋外で気ままに鑑賞歩き 西新宿のユニークな芸術作品たち

更新日:2023年9月20日


「LOVE」 ロバート・インディアナ 1993年 アルミニウム


新宿アイランドの「LOVE」オブジェが有名ですが、西新宿には屋外展示のユニークなアートがもっといっぱいあるのをご存じでしょうか。


気分転換に散歩しながら芸術鑑賞。

さっそく、実際に歩きながらご紹介していきましょう。




アートワークの宝庫・東京都庁


まずは、徒歩5分ほどのところにある東京都庁へ。

西新宿の高層ビル街の中でもひときわ高くそびえています。


真っ先に目に入るのは巨大なアーチ状のオブジェ。

東京マラソンのスタート地点でもあり、見たことのある方も多いかもしれませんね。

「my sky hole 91 Tokyo」 井上武吉 1991年 コルテン鋼 


視覚空間である地上と、触覚空間である地下との境界を曖昧なものにして互いに作用させる試み「my sky hole」シリーズの一作品だそうです。


真下から作品を見上げていると、地と天とが融和していくような感覚になってくるから不思議です。



都庁の敷地内には38点ものアートワークが存在します。

全部見ていくと長くなりますなので、もうひとつだけご紹介します。


「宇宙からのメッセージ」 速水史朗 1991年 黒御影石


「宇宙からのメッセージ」です。

確かに宇宙から落ちてきた円盤にも見えるし、宇宙の意思そのものかとも思えます。


通りがかる人は作品に気づくと、はっとなって丸い部分を見上げます。

神妙な顔の人や、マスク越しに微笑む人もいて、作品から何かを受け取っているようです。


都庁には全国の観光パンフレットがそろう案内所や、誰でも利用できる職員食堂、地上45階の展望室などもあり、何かと楽しめる施設でもあるのです。




なぜここにこんなものが? 謎を呼ぶオブジェ連鎖


都庁と新宿アイランドの間に位置するのが新宿住友ビル。

その外観から「三角ビル」と呼ばれています。


ここにもちょっと面白いオブジェがあるのです。


「恋弁天」 流政之 1975年 


三角ビルが完成した年にできた「恋弁天」です。

祈れば恋がかなうと話題になり、当時多くの人が訪れたそう。


ここが水の集まる土地だったことにちなんだ水の女神ですが、なんともいえないユニークなフォルム。「恋には水をささない」のだそうです。


恋弁天が親しまれたことから、1996年には同じ水の神であり縁結びの神でもある出雲大社の分祀もできました。出雲大社のご利益をここで受けられるようになったのです。



出雲大社分祀 1996年/2020年再建


恋弁天と向かい合うようにしてエントランスに鎮座するかわいらしく美しいほこら。

周囲の構造物とはまったく異質の存在感がすごいです。




どーんと現れる まで機関車のような物体


恋弁天から三角ビルの三角の一辺に沿って歩いていくと、何かわからない大きな物体が現れます。


旧淀川浄水場の蝶形弁 1937年製


機関車の車体を思わせる鉄の塊。

明治から昭和の時代にかけてこのあたりが浄水場だった名残の蝶形弁(止水弁)です。


横から中を除くと水を制御するための円形の鉄板が動くようになっています。

隣に置かれたグランドピアノと比べてもこの大きさ。

これが浄水場の貯水地にあったとはびっくりです。


アート以上に、迫力の中に機能美を感じられる芸術的な作品です。




伝説の一場面を表した太田道灌の像


浄水場ができるもっと前、江戸時代に上水道を整備して水の安定供給を図ったのが太田道灌でした。道灌は江戸城を築城した武将であり学者ですが、この人柄がしのばれる彫刻作品が西新宿の憩いの場、新宿中央公園にあります。

「久遠の像」 山本豊市 1978年 ブロンズ


鷹狩に出た道灌が帰りの道で雨に降られ、立ち寄った農家で蓑を借りようとしたところ、娘が詫びながら山吹の花を扇子にのせて差し出したという「山吹伝説」の一場面です。


あとでその山吹の意味が貧しさのために蓑もないという和歌になぞらえた返答だったと知った道灌が、己を恥じたという話。戸惑う道灌の立ち姿が命あるもののように感じられます。




西新宿という土地ならではの小さな驚きをつぎつぎ味わえる鑑賞歩き。

小一時間ほどで十分に楽しめます。


新宿にご来訪の折に、ぜひいかがでしょうか。


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