てやんでぃ!初めて寄席に行ったけど、初心者でも楽しめた
- 角刈リズム
- 2022年6月7日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年9月4日

寄席って聞いたことあるけど、敷居が高くて行ったことない、そんな方いませんか?
そこでアタクシ、20代後半の角刈リズムが初体験の寄席に挑戦!
それでは、一席お付き合いの程よろしくお願いいたします。
【予備知識①】そもそも寄席ってなんぞや!?
まず寄席とは、落語や講談など主に話芸を披露する場ですが、江戸時代の半ばごろに生まれ、その歴史はなんと300年以上!
当時の江戸っ子たちは寄席にわんさか集って、とんちんかんなお噺(はなし)にガハハと笑って、粋や人情にほろりと泣いたんですって。
しかし、テレビやラジオの登場などによって、昭和には閑古鳥が鳴き始めます。
明治時代には町内に1軒はあったといわれますが、現在都内に残るその数なんと??
たった4軒。※あくまでも落語定席の数です
その残された「上野鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「浅草演芸ホール」「池袋演芸場」は、昼夜の2部制で、ほぼ年中無休で興行を行っています。

(左)都内で唯一残る木造建築、新宿地域文化財第一号指定の「新宿末廣亭」、(右上)上野鈴本演芸場、(右下)池袋演芸場
気になるのはお値段ですよね?
「伝統芸能だから、お高いんでしょう?」と思ったあなた……3,000円ぽっきりです。
しかも昼夜通しで見れたり、途中入場だと半額になるお得な割引を実施していたりする寄席もあります。
【予備知識②】寄席芸人の階級制度はまるで会社員!?
ついでに、出演する落語や講談の芸人たちについても知っておきましょう!
芸人達には階級制度があり、入門すると下から上に向かって見習い→前座→二ツ目→真打という流れで昇進していきます。

ウ~ン難しいと思ったこれを読んでる皆さん……会社員に例えると、こんな感じですかね。
なんとこの階級制度は、寄席の出演順ともつながっています。そもそも真打ではないトリをとれませんし、見習いは楽屋に入ることも許されません。かなりシビアな世界。。
【予備知識③】ネタは当日、その場で決める!

さらに、出演者はその時の客層や季節、天気によってネタを決めます。人によっては高座に上がったときまで決めない人もいるんですって。
(そもそも復習せずに噺せるなんて恐ろしい……)
ちなみに、自分の出番前の芸人がやっていたネタと似たものを演じるのはNG。
だからこそ、トリにはそれなりの経験値が必要ということですな!
かつ自分だけがウケりゃいいというわけではなく、最後の真打まで盛り上がりのバトンを繋がなければいけません。
まさに個人プレイでありながらもチームプレイでもある、それも寄席の魅力のひとつのようです。
さぁいざ、寄席に突入!浅草演芸ホールへ

色鮮やかな寄席幟がはためく「浅草演芸ホール」。御贔屓筋から芸人に送られるのだとか。
予備知識をいれたとことで、いざ実際の寄席へ!
今回、アタクシが観賞したのは、4月上旬の浅草演芸ホールの夜の部。
まずはチケットと……いきたいところですが、どこで買えば良いのかあたふた。
すると、「木戸銭(きどせん)の支払いはこちらでーす」という掛け声を聞き、入り口横の窓口で無事購入!
しかし、「キドセン…ってなんだ?」と調べたところ、昔の興行は出入り口が木戸だったので木戸銭、さらに売り場のことを、チケットがなまって“テケツ”なんて呼ぶのだとか。チケットとを買うと当日のプログラムももらえます。
開演時間が近づき、いよいよ開演!

場内に入ると、自由席。今回は中央の五列目に着座!満席の客層をざっと見たところ、50~60代が5割、私と同じ20代が5割といったところでしょうか。小学生を連れたファミリー層もいてかなり幅広い。
想像していたヨボヨボのおじいちゃん、おばあちゃんの世界と全然違います。
ドギマギしているうちに、いよいよ開演!
まずは20代の女性の前座さんから講談でスタート。
「どなたか携帯を鳴らした瞬間に裏で怒られます......」
と注意事項も早速笑いにまぶします。
年齢も変わらない同世代が、自分の夢を追いかけている姿に思わず感動してしまいました。
そして落語や漫才など入れ替わりでどんどん登場していきますが、小難しくなく全然聞き取れる!それも面白い!あっという間に時間が過ぎていきます。

場内は撮影NGのためイメージで、右手に張り扇、左手に扇子で語りの間に、音を鳴らすのが講談スタイル
そしてついに……いよいよトリ!テレビで話題の講談師「神田伯山」先生です。
出囃子がなるや「待ってました!」の掛け声で、お客さんのボルテージも最高潮。
本題の演目は血筋のない歌舞伎役者の出世譚「淀五郎」。
話始めた瞬間、場内が一瞬にして
シ―――――――――――――――――――――ン。
唾を飲み込む音が聞こえるくらいの静けさに包み込まれます。
とめどない語りの中で、張り扇の音がリズムよく鳴り響き、なだれこむようにクライマックスへ。45分ほどの高座でしたが、語りだけなのに120分の映画を見ていたかのよう...。
あまりの迫力に、終演後の帰り道には腕にびっしり鳥肌が立っていました。
あの前座の子も10数年後には真打として舞台にあがっていると思うと「青春芸」でもあり、真打の芸を見ると「円熟芸」でもあり、伝統芸能の奥深さを肌で体感した1日。
いかがだったでしょうか。
伝統芸能と聞くと敷居の高さを感じますが、そんなこたぁございません。
令和の今も老若男女が笑い合う、大衆娯楽場「寄席」。
皆さんも一度、木戸口をくぐってみてはいかがでしょうか。
さてそろそろお後がよろしいようで...。
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