top of page
  • 執筆者の写真むぎちゃ

【ミステリー好きから初心者まで】ちょっぴりユニークな変わり種推理小説3作


ユニークな推理小説作品の扉絵

今回は、変わり種推理小説を3作品ご紹介します。



私はミステリーや推理ものが好きなのですが、がっつり刑事事件というよりも、日常のちょっとした謎を解いていく日常系ミステリーが好きで。


それだからか、「本格派ミステリー」と書かれているものよりも、ちょっとクセがあったりするものの方が気になります。


 

小説「大きな森の小さな密室」表紙

①「大きな森の小さな密室」小林泰三(出版社:東京創元社)


おすすめポイント

◆さまざまな種類のミステリーが味わえる詰め合わせのような短編集

◆ブラックユーモア

◆探偵が事件を解決


ミステリーといえば探偵ですが、今回紹介する3作品で探偵が出てくるのはこの小説だけです。笑



7つの短編で構成されていて、それぞれがミステリーでお馴染みのテーマで書かれています。



たとえば

・「大きな森の小さな密室」…犯人当て

・「氷橋」…倒叙ミステリー(冒頭で犯人や犯行の様子が明かされるもの)

・「遺体の代弁者」…SFミステリ



第1話の「大きな森の小さな密室」で読者に「犯人は誰でしょうか?」と投げかけたかと思えば、次の第2話「氷橋」ではいきなり物語の冒頭で犯人を明かされて…。物語のふり幅が大きすぎる!



7作それぞれで登場する探偵は違うのですが、どの探偵も変わり者ばかりです。



第4話「更新世の殺人」は、シャーロック・ホームズを模したであろう探偵が出てきます。

あの名言を言っちゃったりもしてて、ホームズ好きとしては「ふふっ」となりました。




そしてブラックユーモアが光っているのもこの小説の魅力。

えっ殺しちゃうの?あれこれ結構残酷じゃない?なんていう瞬間がちらほらあります。



日常の謎をテーマにした「路上に放置されたパン屑の研究」はとくにユーモアに溢れてた。



私のお気に入りは、死んだ人の脳を移植して記憶を移すという恐ろしい設定のSFミステリ「遺体の代弁者」と、安楽椅子探偵をテーマにした「自らの伝言」です。



「正直者の逆説」は、すみませんちょっと理解できなかったので、誰か優しい解説をください。。


 

小説「鍵のかかった部屋 5つの密室」表紙

②「鍵のかかった部屋 5つの密室」似鳥鶏ほか(出版社:新潮社)


おすすめポイント

◆「なぜ犯人はその犯行にいたったのか」に重点をおいた物語

◆緊迫した場面が少なく温かい空気感

◆日常系ミステリー



「糸を使って外から鍵を閉めた、これが密室のトリック。」

この小説は、糸を使った密室トリックと決められたうえで、作家5人が書き上げたアンソロジーです。



トリックは分かってる、さて、どうストーリーが展開されていくんだろう…という、もはやミステリーとは全く別の視点で楽しめる小説。



やっぱりネタバレされるとミステリーはミステリーではなくなるみたいで、事件そのものではなく、犯人は何のために密室をつくったのか、というところに面白さが詰まっています。



5つの物語どれもが同じ密室トリックを使っているのに、そのトリックをするに至った状況は本当にバラバラ。必ずしも悪意があるとは限らないんですね。



5つとも誰かが殺される事件が書かれているんだろうと思って読み始めたので、思わず優しい物語ばかりの内容で、なんかすみません…て気持ちになりました。



とくに友井羊さんが書かれた「大祖母のこと」は、心がとてもあたたかくなる物語。


自分の後悔や失敗は、未来の人たちにとっては有難いことに繋がっていったりするのかもしれないって思えて、なんだか心が救われたお話でした。



ミステリーでこんな気持ちになるなんて…。



ミステリーはトリックと同じくらい動機も大切!という「名探偵コナン」より「金田一少年」派(←伝わりますかね?)の方にぴったりな一冊です。


 


小説「神様からの手紙 喫茶ポスト」表紙

③「神様からの手紙 喫茶ポスト」新津きよみ(出版社:角川春樹事務所)


おすすめポイント

◆しっかり推理小説なのにちょっぴりファンタジー

◆ハートフルとシリアスの2部構成

◆不思議な能力で事件を解決



舞台は、店内に郵便ポストがある喫茶店。投函された手紙にまつわる謎を、喫茶店のスタッフたちが解き明かします。



「喫茶店+郵便ポスト+ミステリー」という組み合わせ、ワクワクしますよね。タイトルや表紙からほっこり日常系ミステリーを想像していましたが、なんと、しっかり推理小説!



不思議な能力をもつスタッフが登場して、ファンタジーが入ったちょっとクセのある推理を楽しめます。



イメージでいうと相沢沙呼著「霊媒探偵城塚翡翠」のような感じですかね。(ドラマを見ただけで小説は読んでいないので、イメージでしかないですが)



内容は2部構成。第一部はタイトルから想像するようなハートフルな物語、第二部はシリアスな内容となっています。



私の好みは第一部の話。第一部のようなほっこりする内容で後半も続いてほしかったかなとも思いますが、これは日常系ミステリーが好きな私だからこそ思うことですね。



ですが、雰囲気の違う2つの物語を1冊で一気に読めるからこそ、ミステリー初心者の方にはおすすめの小説だなと思います。どちらが好みかぜひ試しに読んでみてください。



ミステリーあり、ファンタジーあり、美味しそうな料理あり。

そしてハートフルもあれば、シリアスも。

いろんな要素であふれている、新感覚のミステリー小説です。


閲覧数:13回0件のコメント

Comments


bottom of page